水のはなし

天然水の人びと

アクアセレクトGMの竹本大輔による水紀行

第36回 浦村奇跡の牡蠣編1 

浦村の生浦湾(おおのうらわん)湾口。絣(かすり)模様と言われる、牡蠣の養殖筏(いかだ)が見える。
生活の匂い漂う、豊かな海。
数多くの漁船が所狭しと係留される。複雑な海岸線が多く小型船ばかり。時化(しけ)たときは本当に怖そうだ。

浦村(うらむら)の極上の牡蠣

アクアセレクトの採水地は三重県多気郡大台町(旧宮川村)地区。大台町は、紀伊半島のちょうど三重県と奈良県との県境あたり、大峰山脈の南、台高山脈の東麓に位置する。紀伊半島南端を北上する黒潮の影響を受け、日本国内屈指の雨量を誇る。

ボトリング地でもある最上流部の湧水は、水量を集めて支流となり、本流「宮川」に流れ込む。

三重県南部を流れる日本一の清流「宮川」。その長さは91km。最下流部には伊勢神宮があり、「伊勢湾」がある。
日本最大、1,740平方キロメートルの湾「伊勢湾」。

鳥羽市や志摩市の海産物は、今更説明するまでもないだろう。湾そのものの名が付いた「伊勢エビ」はもちろん、鳥羽市浦村町の「牡蠣」も、その名を全国に轟かせている。
奇跡の牡蠣とも呼ばれる、浦村の牡蠣。
牡蠣が旨味を増す1月の寒の時季、その秘密に迫った。
鳥羽磯部漁業協同組合の浦村支所、理事の村田孝雄さん。この地域の牡蠣への自信が静かにみなぎっておられる、そんなお人柄を表すかのようなお話だった。
浦村支所支所長の山本清さんも話題豊富な、明るく気さくな方だ。この地域の話になると、熱っぽさが湧いてくる、そんな話口調に魅了された。
竹本
お電話しました竹本です。今日はよろしくお願い致します。
ちょっと早く着いたんでその辺うろうろしていたんですが、先ほども大型バスが何台も来ていましたね。1シーズンでどれくらいのお客様が来られるのですか?
鳥羽磯部漁業協同組合浦村支所支所長の山本清さま(以下 山本支所長)
週末だけで2,000人は来るんとちゃうんかな?
ウチは10月末から11月から初めて、5月までやから、ほぼ半年間やってます。
竹本
すごいお客様の数ですね~。確かに値段とか見てもお安いですよね。
山本支所長
都会から見たら、あの金額は無理ですやろな。
竹本
そうなんですよ。都会であれだけのモノ食べようと思ったらこの金額では無理です。ちょっと新鮮な牡蠣を食べようと料理屋で注文したら、3粒くらいで1,000円ってザラですもん。
山本支所長
ウチ等はやってませんが、他の地域の牡蠣は「水浸透(みずしんとう)」と言うて、中に水を入れるのよ。そうすると牡蠣は大きく見えるよ。けどね、そういう牡蠣は鍋に放り込んだら小さなるんよ。
竹本
なります!なります!そういう原理だったんですね。
竹本
牡蠣の本場というと広島だと思うんですが、ここ浦村の牡蠣の歴史ってどれくらいなんですか?
山本支所長
うん、やっぱり広島が一番本場やね。ただ、ここも歴史は古いんですけどね。元は地元でない人が入り込んできてやり始めたんですよ。昭和初期くらい、戦前の話ですな。当時は「日米かき」と言ってました。真珠の養殖が盛んやってんけど、衰退してきたのが昭和40年代。ちょうど真珠と入れ替わりで牡蠣の養殖が広まってきたのがきっかけやったと聞いております。
竹本
なにか大台町と関係がおありだと聞いたのですが、どういったご関係なのですか?
鳥羽磯部漁業協同組合浦村支所 理事 村田孝雄さま(以下 村田理事)
アマモの再生運動がご縁なんです。アマモというとイールグラス(Eelgrass)とも言うんですが、その再生を一緒にやっています。あと「大台町どんとこい祭」にも参加してるんですよ。
竹本
アマモっていうと、緑色の長い海藻ですよね?大台町との縁のキッカケはどういったものだったのですか?
村田理事
平成16年に宮川で水害があったでしょ。
竹本
ありました。
村田理事
それでその時、牡蠣というのは宮川の川の水がものすごく関係があって、それで宮川の森を再生して欲しいという思いで、わずかなんですけれど、こちらで募金を募って、大台町長に持って行ったんです。やっぱり川の水って牡蠣の生育には大切なんですね。もちろん宮川だけではないんですが、木曽三川なんかも含めて、とっても大事なんです。
なぜかと言うと、この伊勢湾の海水の流れが「時計と反対回り」やからなんです。
竹本
時計と反対回り?
お昼ごはん時、他県ナンバーの大型バスがやってきて、たくさんの人がこの小さな漁港に降りたって行った。
こういった「焼がき食べ放題」の店が湾内所狭しと並び、食欲をそそる香ばしい匂いをさせている。
竹本大輔

お申し込み・お問い合わせは、
こちらよりお気軽に

新規お申し込み お問い合わせ

お申し込み・お問い合わせは、こちらよりお気軽に

新規お申し込み お問い合わせ 追加ボトル注文・ログイン
Who We Are
第58回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編12
第57回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編11
第56回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編10
第55回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編9
第54回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編8
第53回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編7
第52回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編6
第51回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編5
第50回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編4
第49回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編3
第48回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編2
第47回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編1
第46回 浦村奇跡の牡蠣編11 最終回
第45回 浦村奇跡の牡蠣編10
第44回 浦村奇跡の牡蠣編9
第43回 浦村奇跡の牡蠣編8
第42回 浦村奇跡の牡蠣編7
第41回 浦村奇跡の牡蠣編6
第40回 浦村奇跡の牡蠣編5
第39回 浦村奇跡の牡蠣編4
第38回 浦村奇跡の牡蠣編3
第37回 浦村奇跡の牡蠣編2
第36回 浦村奇跡の牡蠣編1 
第35回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り最終回
第34回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り6
第33回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り5
第32回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り4
第31回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り3
第30回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り2
第29回 幻の酒米「伊勢錦」稲刈り1
第28回 良い水を育む森そして林業編6 最終回
第27回 良い水を育む森そして林業編5
第26回 良い水を育む森そして林業編4
第25回 良い水を育む森そして林業編3
第24回 良い水を育む森そして林業編2
第23回 良い水を育む森そして林業編1
第22回 宮川その川文化編9
第21回 宮川その川文化編8
第20回 宮川その川文化編7
第19回 宮川その川文化編6
第18回 宮川その川文化編5
第17回 宮川その川文化編4
第16回 宮川その川文化編3
第15回 宮川その川文化編2
第14回 宮川その川文化編1
第13回 浦谷地区の高山さん サツマの切り干しなど
第12回 浦谷地区の高山さん あられの作り方、食べ方
第11回 浦谷地区の高山さん お餅やお漬物のこと
第10回 宮川物産様 お味噌の貯蔵蔵を見学
第9回 宮川物産様 名産品は天然水があってこそ
第8回 宮川物産様 お味噌作りのきっかけと天然水
第7回 元坂酒造さま これからの取り組みと この一品
第6回 元坂酒造さま 毎日の晩酌 普段着のお酒
第5回 元坂酒造さま 寒仕込みについて
第4回 元坂酒造さま 良いお酒は良いお水から
第3回 元坂酒造さま 幻の酒米「伊勢錦」
第2回 元坂酒造さま お酒の楽しみ方
第1回 元坂酒造さま 酒造りへのこだわり
PAGE TOP ↑