水のはなし

天然水の人びと

アクアセレクトGMの竹本大輔による水紀行

第51回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編5

良質の水を求めて

右が、天然水を販売しておられる、須弥山合同会社の牧野社長。ここ武蔵野酒造さんの仕込みにも使われている妙高山の雪解けの湧水だ。
いもり池から妙高山を望む。この日は2月には珍しくその佇まいを見せてくれた。雪山賛歌が生まれたのもこの山。歴史ある名山だ。この豪雪地帯の雪解け水を集めて地下水となる。それが妙高山の天然水。水量の豊富さでいうと三重県大台町に匹敵するのだろうと思う。

竹本
日本酒談義から食文化へと大変盛り上がってきました。
ここで少し、新潟県上越市にあるこちらの武蔵野酒造 小林社長と、今日ご同席いただいている、新潟県妙高市の須弥山合同会社の牧野社長のお付き合いというのを、お聞かせいただけますか?
小林社長
ここらあたりは、住宅地なんですよ。
竹本
はい。見るからにそうですね。
小林社長
今はもう使ってないんだけど、昔は、井戸が3本4本あったんです。
そこから水を汲んでたんですよね。昔はね、遠い昔ですよ。
もう50年ぐらい前のことです。
竹本
ほほぉ。
小林社長
ここは昔は田んぼあったんですね。ただ湿地帯というか沼地、沼状態の土地だったようなんです。で、井戸もそうなんだけれども、かなり掘らないと品質の良い水は出ないんですよ。そんな土地。それでね今は隣に学校が建っているんだけど、そういったものが建ったりすると、水脈が変わっていくんです、やっぱり。それに加えて「消雪パイプ」っていって、地下水を吸い上げて融雪の為に流してっちゃう。そうすると完全に干上がっちゃうんですね。
竹本
そうかあ。
小林社長
まあ、そういったいろんな要素が組み合わさって、安定的に水が出てこなかったっていう歴史があるんです。それで、50年前から、山に、水を汲みに行ってたんですよ。
で、タンクローリーで汲みに行って仕込みに使うっていうのが現状だった。ぼくらも、特に作り手ですね、杜氏なんかも、水を求めていろんなところを回ったんです。良い水を求めて、ね。
竹本
それはすごい大変なことですね。
小林社長
で、紆余曲折があって、いまは牧野社長のところからお水をいただいています。
牧野社長のところとは、ウチの営業が仲良くさせてもらってるんでね(笑)
牧野社長
これが偶然なんですけれど、うち実家が千葉県柏市なんです。そこで私の実の妹がお店やってまして、食事と創作系の料理のまあ居酒屋なんです。そこで、ぼくが妙高に住んでるんで、やっぱ地元の酒を使ってもらいたいなと、送ってお店で使ってもらってたんです。
そうしたら、武蔵野酒造さんの営業さんがそこ行かれた時に、「自分のところのお酒がある!」ってビックリされてそうなんです。それで「うちの兄貴が」っていう話になったら、そこで繋がって、それからですよね。
竹本
それはすごい偶然ですね~!
小林社長
で、何年か前から、ウチの大吟醸だけは牧野さんとこのお水で仕込まさせていただいてます。
まっ今年は仕込みの全量いただくようになりました。そんな繋がりです。
竹本
なるほど。すごい人の縁ですね…!
牧野社長
やっぱり美味しいお酒も、美味しいお米も、水が基本となってくるんだと思います。
ただこの辺の人って言うのは、水に困ってないんですよ。美味しいお水に困らない土地なんです。なんでこの土地で水をビジネスにしているっていうこと自体が、この辺の人にはピントこないっていうのが正直な話なんです
ただ私自身が柏市出身で、そこに住んでいるときは水に困ってたんですね。
でこちらに来て「これだけ上質な水だったら、もっと良さを知ってもらいたい」と思うようになりました。
小林社長もそういう気持ちあると思うと、一緒にお仕事させていただいて良かったなぁというのがあります。ここの上越や妙高のモノを都会の人に少しでも多く知ってもらって、来てもらいたい。ぜひ遊びに来てもらいたいっていうのが、共通の思いですね。
小林社長
水道水でも、そこそこ美味しいんですよね、ここは。都会で住んでると水道がすごく不味いじゃない。
竹本
ぼく出身が大阪市阿倍野区なんです。だから、名古屋へ来たときになんて「水道水が美味しいなぁ」と思ったくらいです。逆に「こんなとこでお水が売れるのか?」と思ったくらいです(笑)
小林社長
お水そのものを販売している訳ではないんですけれども、ぼくらも「水で生きてる」訳なんですよ。
竹本
「水で生きてる」、っていい言葉ですね!(笑)
今回取材をさせていただいた株式会社武蔵野酒造さま。寒の時期のお忙しい最中にも関わらずご丁寧にご対応いただいた。
昔降り積もった雪の高さを確認し顔がほころぶ。まだまだ春浅き2月の空。
(取材日2014年2月12日)

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