水のはなし

天然水の人びと

アクアセレクトGMの竹本大輔による水紀行

第57回 妙高上越 食の魅力 武蔵野酒造さま編11

ローカル・スタンダード

小林社長
でね、日本全国どこも同じようなことをやるんで、同じモノや企画が増えてるんですよね。
やっぱり地方行政が、国の傘の中で動いてるからですよね。
だから、独自色は出せない。
竹本
酒造もそういう意味では国の規制がかかっていますよね?
小林社長
そうですね。だから厳しい。
これからはもっとローカルな仕組み、いわゆるローカル・スタンダードが世界のスタンダードになるような仕組みを考えないとダメだと思います。
差がないんですよ、結局。
だからどんどん規制緩和を進めてもらわないとダメだと思います。
小林社長
ぼくらも十何年か前に、酒造組合の若手でイタリアに行ってきたんですよ。
ミュンヘンにオクトバーフェストっていうお祭りがあってね。
イタリアのパルマに行ったときに、チーズ工場とか生ハム工場とかを見ました。
竹本
パルマの生ハムですか!あの「プロシュート」ですね〜!
小林社長
そうです、そうです。
で、そのプロシュートとかパルミジャーノ・レッジャーノの製造現場に行って凄いと思ったんですよ。
なにがすごいかって言うと、そこ独自の基準が世界の基準になっている、ということなんですよ。
竹本
ローカルの基準が、世界の基準に…なるほど、確かにそうですね。
小林社長
生ハムのプロシュートにしても、チーズのパルミジャーノ・レッジャーノにしても、なにか国から決められた基準とかではないんですね。
そうじゃなくて、パルミジャーノ・レッジャーノっていう、ものすごく地方の、自分たちがやってきた規格で、こうやって作ったのがパルミジャーノ・レッジャーノですよってアピールがすごいわけ。
竹本
確かに、自分勝手な基準ですよね(笑)
小林社長
あれってよく考えたら国じゃない、地方のスタンダード、ローカルスタンダードなんですね。
なのに、世界中の人がみんな知ってるわけですよ。
竹本
そうですよね。
小林社長
それにパルミジャーノ・レッジャーノって値段が高いでしょ?
竹本
高いですね。一切れ2,000円とか3,000円とかしますもんね。
小林社長
そう、あれだけの価格で、しかも全然安売りしない。
これは凄いことだと思っています。
ローカルのスタンダードを世界に通用させようとしている。
そして見事に通用しているんですね。
竹本
そこで「メイド・イン・パルマ」ならぬ「メイド・イン・上越妙高」なんですね。
小林社長
そうですね。
国内だけじゃなくって世界も視野にいれなくちゃいけない。
お客さんも東京から呼ぶ、大阪から呼ぶ、もちろん大事なんだけど「世界中から呼んでくる」ぐらいの価値を出していかないとダメですよね。
竹本
そのパルマ式の「世界から人を呼ぶ」、「世界に通用するローカルスタンダード」って、なにかこう彼らのこだわりが通用してるということなんでしょうかね?
小林社長
そうなの。そうなの。
イタリアの国の規格じゃない、パルマの規格なんですよ。
それが良い。
竹本
プロシュートも「パルマの北向きの部屋で何日干さなければならないと駄目」とか、メチャクチャこだわった、そんな世界ですものね。
で、すごいのが「お前ら、おれのこと別に真似てもエエけど、パルミジャーノ・レッジャーノを名乗れるのは、オレたちだけだぜ」という姿勢(笑)
小林社長
そうそう。
国が規格を作るんじゃなくて、上越や妙高が規格するくらいの方向性ではありたいですよね。
竹本
そうか、だから今「どこの街もいっしょだよね」という話になるんだ。
そういう所に繋がるわけですね。
小林社長
まさしく、そうですね。

他と違うことをしようと思ったら、極端な話「コンビニは作っちゃいけませんよ」っていう、いわゆる「鎖国」するのもいいわけですよ。
ちょうどミラノに泊まったとき、コンビニなんか一軒もないんですよその当時。

今はできちゃってるかもしれないけど、外資系の小売なんかもないし、何より土日は店が休み。
で、イタリア人に土日に店が休みで、どうしてるんだ?と聞くと、「なに言ってんだ。金曜日に買っときゃいいじゃないか」って(笑)
竹本
そりゃそうだ(笑)
ちょっと前の日本もそんな感じでしたよね。
そういう意味での自分なりのその地域なりの、国や地方自治体に迎合しないその地域独自の規格、というのはありなのかもしれませんね。

国の規格ではなくパルマの規格「メイド・イン・パルマ」。
地方のスタンダードが世界に通用し、独自の基準が世界の基準になっている。
小林社長のお話をきっかけに、地域なりの国や地方自治体に迎合しない独自の規格の重要性について再認識した。

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