水のはなし

天然水の人びと

アクアセレクトGMの竹本大輔による水紀行

第17回 宮川その川文化編4

まだ春浅いこの日、蕗のトウが立っていた
素晴らしい囲炉裏庵を外から見た様子。佇まいも素晴らしい。

宮川の美しさ、そして子どものころの遊び

竹本:
ぼくらは、採水は大井の湧水を使っているんで実質的な影響はないんですが、水そのものの商売なので、宮川が汚れていたりすると、イメージの部分も含めて「宮川が汚れたりするとアカン!」と思う訳です。
※大井=アクアセレクトボトリング工場のある地区。「大きな井戸」の意味の通り、集落内には大量の水が湧き出る。この取材の天ケ瀬の集落から、さらに奥へ車で15分程度。
水谷
今年も宮川ダムの水を抜くときは「きれいに水を抜いてください」と頼んどるんですわ。
間違って底の水なんかを流すと鮎や他の魚が死によるんですわ。黒い色をしている。
やっぱり上流からきれいにしていかないとダメなんです。
※宮川ダム=旧宮川村の最奥部、大杉谷にあるダム湖。
※大杉谷=日本三大渓谷の1つに数えられる、名渓谷。いくつもの名瀑があり、季節を問わず美しい姿を見せる。かの黒部渓谷の主、冠松次郎氏も「黒部に匹敵する」と大絶賛した渓谷でもある。
筆者が歩いた様子はこちら。http://www.aquaselect.jp/blog_entry/20120530-657.html
竹本
そう考えると、下流域の度会郡や伊勢市にも迷惑が掛かる話ですね。
水谷
そうなんです。
やっぱり上流から気をつけんと。
一番上流の「宮川」が「気張って」やらんとダメなんですわ。
竹本
そうですね。
「上流から気張って」というのはいい言葉ですね。
それで思い出したのですが、浦村の牡蠣を食べに行ったときに「美味しいですね。何が秘訣なんですか?」って聞くと、「宮川があるからよ」と言われたときはビックリしましたね。「宮川の水の仕事してます」って言うと向こうがビックリしてましたけど(笑)
※浦村の牡蠣=三重県鳥羽市浦村町にある牡蠣の養殖は、その質・量ともに有名。食べ放題がお勧め。筆者も大好き。
水谷
河川もキレイ水が流れると、そこがエエ漁場になります。
竹本
宮川の水がきれいなのはみなさんの意識の高さが感じられるんですが、その他の要因とすると何があるんでしょうか?
水谷
やっぱり雨の多さやなぁ(笑)
ここらで雨が降ってると、「また大杉谷で雨が降っとるな」と言ってましたな。
竹本
雨にまつわる、子どもの頃の思い出とかってありますでしょうか?
水谷
雨が降ると増水しますやん。濁ってきますわな。
そうなると宮川のカーブのところで渦が巻いたりしますやろ。
それもダーッと渦が巻きますやろ。
そんなところでワザと泳いでましたな(笑)
また渦を目掛けて飛び込んだりしてましたな。
竹本
渦巻いてるってハンパじゃないですね。
危ない!危ない!
※絶対に真似しないでください。保護者の方も十分注意してください。
あくまで、宮川沿いで水泳訓練を受けて育った子どもたちの話です。
水谷
水量が多いもんで、こちらからまっすぐよう行かんのんですわ。
だいたい200メートルくらい下(しも、下流)に流されてしまうんですね。
竹本
親御さんなんかは心配されなかったんですか?
水谷
そんなみんな忙しいで、子どもの守(もり)までしとらん(笑)
その代り、「ガキ大将」ちゅうのがおって、そこらの小さな子の守を全部しとった。
竹本
なるほど。
水谷
今では考えられませんな。
そもそも「川に行ったらアカン」となっとんねんから。
竹本
それもどうかと思うんですけどね。
生命の危険や大けがっていうのは絶対にダメですが、川遊びを通じて、その中に潜む危険なんかは、積極的に学んでいかないとアカンと思います。
水谷
それは、ガキ大将がしっかりしとったもん。
そういうやり方で育って来とるもん。違うわな。
竹本
水谷さんもガキ大将っぽいですけど(笑)
水谷
そんなことあらへんよ。
わしは助けてもらう方が多かったな(笑)
子どもの頃の思い出を語っていただいた。大阪の街中で育ち、とにかく野外に遊びを求めていた筆者は羨望の眼差しで聞いた。素晴らしい体験だ。

編集後記

ガキ大将が小さい子の面倒を見る、そして大きくなっていく。素晴らしい教育環境だと思う。
決して増水した川で遊ぶことをお勧めをするものではない。しかし子どもは少しばかりの危険を感じ、身を守る術を身に付けていくのだろう。そういった教育の場も提供できれば良いなと思う。
竹本大輔

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