
水のはなし
天然水の人びと
アクアセレクトGMの竹本大輔による水紀行
第15回 宮川その川文化編2
しゃくり(ひっかけ、ちょんかけ)の話で盛り上がる。竿の長さがどうとか、曲がり具合がどうとか…。
あの難しいしゃくりという漁法は、鮎の生態を深く知らないとダメだ。また川に潜り、それこそ川底の様子まで分かっていないと鮎はひっかかってはくれない。
川の環境を身をもって知ることができるという点からも、教育現場などで、もっと見直されても良いと思う。
あの難しいしゃくりという漁法は、鮎の生態を深く知らないとダメだ。また川に潜り、それこそ川底の様子まで分かっていないと鮎はひっかかってはくれない。
川の環境を身をもって知ることができるという点からも、教育現場などで、もっと見直されても良いと思う。

川漁師文化が根付く「宮川」、その宮川が本来の姿に戻ることを祈って
竹本
ちなみに水谷さんが得意な「しゃくり」の竿の長さってどれくらいですか?
水谷
3メートルくらいですな。
竹本
それは長い!
ぼくは2メートル30センチくらいが限界でしたね。
ぼくは2メートル30センチくらいが限界でしたね。
水谷
ははは。
竹本
鮎以外に何を捕るんですか?
水谷
そうやなぁ。アマゴとか、オイカワとか、おったらウナギも捕るけど。
竹本
「夜捕り」もされるんですか?
水谷
こちらでは「夜ぶり」と言いますけど、もちろんよくやりましたな。
今はもう歳やからしませんけどな(笑)
今はもう歳やからしませんけどな(笑)
竹本
それは全部宮川本流でやったんですか?それともどこかの支流ですか?
水谷
もちろん、本流でやりました。
竹本
ええ本流ですか!?それはめちゃくちゃ水量があって危険ですね。
でもだからこそ「宮川モンの後には何も残ってない」という話になるんですね~。
ホームが厳しい条件なんですね!
※宮川本流と支流では、水量・深さとも雲泥の差がある。もちろん瀬や淵で随分と違うが、他地域の本流と比べても、比べ物にならないくらいの激しい箇所が多い。
でもだからこそ「宮川モンの後には何も残ってない」という話になるんですね~。
ホームが厳しい条件なんですね!
※宮川本流と支流では、水量・深さとも雲泥の差がある。もちろん瀬や淵で随分と違うが、他地域の本流と比べても、比べ物にならないくらいの激しい箇所が多い。
水谷
でも楽しかったけどな。
だから、子どものころからやってやんと難しいわなぁ。
だから、子どものころからやってやんと難しいわなぁ。
竹本
そうですよね。それはひしひしと感じます。
ちなみに水谷さんご自身もこどものころから「しゃくり」を?
ちなみに水谷さんご自身もこどものころから「しゃくり」を?
水谷:
そうやな。
勉強なんてちっともせんと、鮎ばっかり捕りよったなぁ(笑)。
勉強なんてちっともせんと、鮎ばっかり捕りよったなぁ(笑)。
水谷
実は川で商売してるのは、ぼくで3代目なんさ。親父も祖父も、川で生計を立ててたんさ。
舟を使ってな。
舟を使ってな。
竹本
へー!川漁師さんですか!すごいですね!
川漁師さんって年々減っていて生計を立てることが難しくなっていると聞きます。
川漁師さんって年々減っていて生計を立てることが難しくなっていると聞きます。
水谷
鮎も比べもんにならんくらい、ようけおったし(たくさんいたし)、大きかった。
こう、手が周らんくらいの鮎がおったんです。
捕っても捕っても、登ってくるんですよ。
水量も、水のきれいさも今と比べもんにならんくらいやったんですわ。
今の川を見ると情けないくらい。
こう、手が周らんくらいの鮎がおったんです。
捕っても捕っても、登ってくるんですよ。
水量も、水のきれいさも今と比べもんにならんくらいやったんですわ。
今の川を見ると情けないくらい。
竹本
清流日本一と言われていますが、台風被害の爪痕がひどいですもんね…。
水谷
今は台風被害の影響もあって、見たくないくらいですな。
平成16年に台風21号の被害がありました。
それでようやく川が戻り始めたと思った時に、平成23年に台風12号の台風の被害ですやろ。
入漁料収入も3分の1になりました。
※平成16年台風21号は、旧宮川村で斜面崩落を引き起こし、死者行方不明者7名を出す大被害となった。
平成23年台風12号は、和歌山県を中心に死者行方不明者92名の大被害となった。
平成16年に台風21号の被害がありました。
それでようやく川が戻り始めたと思った時に、平成23年に台風12号の台風の被害ですやろ。
入漁料収入も3分の1になりました。
※平成16年台風21号は、旧宮川村で斜面崩落を引き起こし、死者行方不明者7名を出す大被害となった。
平成23年台風12号は、和歌山県を中心に死者行方不明者92名の大被害となった。
水谷
自然のことやから仕方がない、と思っとるけど、あの時はがっくりきと来ましたな。
平成16年の水害の工事も終わったんで、これから、というときだったんで。
やっぱり、いろいろな方に三重県に来ていただいて、「やっぱり鮎なら宮川上流」と言ってもらいたいですね。
平成16年の水害の工事も終わったんで、これから、というときだったんで。
やっぱり、いろいろな方に三重県に来ていただいて、「やっぱり鮎なら宮川上流」と言ってもらいたいですね。
この水路には夏にはイモリやドンコなどの棲家となる。子どもは目を輝かせて遊ぶのだろう。子どもならずとも遊びたくなる。

編集後記
過去2回の台風、それに伴う土砂災害は、未だに大きな爪痕を残している。そんな中、宮川の生命力を信じ、何とか「魚も人も戻ってきてほしい」と願う水谷さん。親子3代の川で生計を立てている(お父さまとおじいさまは川漁師)であったとは驚いた。もっともっと川漁師の思い出などを、今度は宮川本流で「しゃくり」を教わりながら、聞いてみたいと思う。

竹本大輔