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水泳場、川遊びの文化

竹本大輔:2012年06月04日

三重県大台町(旧宮川村)には、「水泳場」という文化があった。

これは旧宮川村の各集落で、宮川の本流の淵に大人が見張りに立ち、子どもたちが泳ぐ様子を見守ったり指導したりする制度だ。今の制度でいうと「通学路の交差点での旗振り当番(愛知県だけか?)」のようなものかと想像する。

いまは学校にもプールができ、この水泳場はなくなってしまった。

もちろん今でも子どもが川遊びをする際には親が付いて見張っているのだが、こういった制度は意味合いが違う。

その昔、ここ奥伊勢地方だけでなく日本全国の川は文字通り生活の場であった。宮川より南西に位置する東紀州の熊野地方。ここも川文化を色濃く残す地域だ。ここでもダムが建設される昭和40年代前半まで、子どもたちは川でよく遊んだ。まだ「筏流し」によって山奥で切り出した材木を急流に筏を流し運んでいた時代だ。ここらの子どもは、「大人の仕事場である川で遊んでいた」に過ぎない。

それらの川には「ガラボシ(河童の方言)」が住みつき、キュウリを食って川に入ると、ガラボシに足を引っ張られるという伝承を残した。これはキュウリなどの 体を冷やす野菜を食べて川に入ると足がつる、という戒めを込めたものだろう。あまりにも深い淵や滝壺には、「あそこの淵には牛鬼(頭が牛で、体が鬼の妖怪)が出る。」と言い伝え、子どもたちが近づかないようにした。

生活としての川。そこで育まれる地域の交流。「川の文化」「川遊びの文化」だ。

これらは、昭和40年代のダムの建設ラッシュで、失われた。川を下るという交通手段は姿を消し、川漁師たちは魚が捕れなくなり、川から上がった。プールで泳ぐことを良しとされ、川には近づかないように看板がたくさん立つようになった。

ただ、昨今の海の事故、川の事故の件数の多さはどうだろう?川で遊ぶ人たちの礼節の無さはどうだろう?これはすべてとは言わないが、川から人を引き離し、文化を分断させた結果なのではないだろうか?もう少し、「川の文化」と「川遊びの文化」を見つめなおし、後世に受け継いでいくことが、今必要なのかもしれない。

アクアセレクトは、それを購入いただいているお客様あっての商売だ。また水源である宮川とその周辺の環境、そしてなにより流域に住む人たちの意志、があっての商売だ。上流部と下流部、田舎と都市部をつなぐ架け橋、を自負している。

そんな私たちアクアセレクトが、この夏キャンプを企画しています。文化の継承、というと小難しいので、「川遊びを思いっきり体験できるキャンプ」。「水泳場」も復活できるか検討中。でもそれだけでもちょっとフックが弱いので、午前中は学校で出された宿題をしっかりやって、午後から川で遊ぶ、という「宿題合宿」にしようと思っています。ナビ個別指導学院というところと一緒にやる予定です。

夏の日差しの下、「川遊びの先生」や「泳ぎの達人」みたいなおじいちゃんにいろいろ教えてもらって、おばあちゃんからは「冷えたスイカあるよ~」って言ってもらう。今から楽しみです。

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アクアセレクトブログ(竹本大輔ブログ)

自然をこよなく愛する。コテコテ大阪市阿倍野区出身。現在は名古屋市名東区在住。毎週のように採水地の宮川を訪れては土いじりだの虫取りだの川遊びだのに興じています。

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